ヨットという言葉を知っていてもイメージが湧かない方に、少し説明をしたいと思います。
ヨットはオランダ語のjaghtからきており、最初は海賊を追跡する高速帆船でした。これを商業などに使用し、さらに遊びにも使われるようになったのです。
現在の日本でヨットというと、マストがあり、セイル(帆)をかかげ、風の力で走るフネの事をさします(英語ではsail boatと呼びます)。ボートと違って、目的地へ向かうためにオールをこぐ必要がありません。
マストとセイルを持つ船は随分昔からあります。しかし、ある時代まで帆船は風上に向かって走ることができないものでした。時代が下るとともに造船技術や素材の質の向上によりフネは進化し、風上にのぼるヨットが現れました。
ヨットの種類にもよりますが、私達ヨット部が乗る艇はおおよそ風向に対して45度まで上り、風上の目的地へジグザグに走って行くことが出来ます。はるか昔の帆船と違って、風上へも向かうことができるのです。
ヨットには、まず大きく分けて2つの種類があります。大型でキャビン(船室)やエンジンを持つものをクルーザーと呼び、船底にキールという重りがついています。比較的小型でキャビンはなく、主に1〜4人乗りのものはディンギーと呼びます。ディンギーは人の体重で傾いた船体を起こすので底に重りはなく、代わりに横流れ防止のセンターボードがついています。
←これはディンギーの一例です。
セイルが1枚のキャットリグ、セイルが2枚のスループリグ(図のような形)、ハル(艇体)が2つ以上並んだ構造のマルチハル…というふうに様々な種類があります。この中でさらに細かくクラス(級)があり、それぞれ名称をもっています。
三重大学ヨット部では大学ヨットの制式艇である470クラスとスナイプクラスに乗って練習しています。両クラスとも2人乗りのディンギーで、大ざっぱに言うとスナイプは一本のマストに2枚のセイル、470はこれに風下へ向かう時に使うスピネーカー(セイルの一種)を加えた3枚のセイルをもつスループリグのヨットです。
艇体は長さ5m弱、FRP製です。内部にエアータンクを持つ構造になっており、沈(横倒しの状態になること)しても沈みません。スピードは…測った事がないので良く分かりません。が、強風の風下行きではかなりスピード感があります。
ディンギーにはエンジンがないので船舶免許は必要ありません。操作をするのはティラー(舵)と、セイルを調節するシート(ロープ)のみです。これらを、行きたい方向や風向、風の強弱にあわせて調節するとヨットは走り出します。…と言うと難しそうかもしれませんが、とりあえずシートを引くとセイルに風が張り、速さはともかく前に進んでしまえるという乗り物なのです。
ボートではないので、常にオールを漕ぐ、という動作はありません。
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少しでもヨットのイメージに近づいてもらえたでしょうか。ギャラリーで写真を見ることができるので是非そちらも見てください。
興味がわいてきたら…乗ってみましょう!